学術研究 / R&D

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あなたの声がしっかり伝わる—ストレスフリーなオンライン会議を。

…でも、オンライン会議が「聞こえづらい」って、なんだろう?

オンライン会議の音質を評価・改善するための学術研究

研究概要

オンライン会議では、参加者の声が雑音で聞き取りにくかったり、話に集中できなかったりすることが少なくありません。

多くの会議には権力の勾配があり、上位者の音質が悪く聞き取りづらかったとしても、それを参加者の立場から指摘しづらい構造が生まれがちです。 また、会議中は問題なく進行できたとしても、後からAI文字起こしや議事録を確認すると誤りが多く、内容の再確認に手間がかかることもあります。 このような状況は日常的に見られ、オンライン会議の快適さや理解のしやすさ、議論の活性度、ひいては組織の生産性に大きく影響します。

自分の声が他の参加者にどう聞こえているかを確認するには、オンライン会議ツールの音声チェック機能を使って録音し、自ら聴き直す必要があります。しかし、忙しいビジネスシーンでは毎回その時間を確保することは難しく、またその聞き取りやすさの評価は専ら個人の主観に頼っています。たとえ聞き取りづらかったとしても、その原因を突き止め解決するのは一般のユーザーにとって容易ではありません。

この解決策として、自分の音声品質を自動的に解析し、原因別に改善点を提示するサービスがあれば、より快適で効率的なオンライン会議運営が可能になると考えられます。 また、AI文字起こしや議事録作成サービスにおいても、AIが正確に認識できる音質であるかを事前に把握できれば、業務の生産性をさらに向上させることができます。

問題提起

本研究では「AIが正しく聞き取れる音声は、人間にとっても聞き取りやすい音声である」という仮定を立てます。

この仮定のもと、さまざまな音声劣化要因がAI文字起こしの精度に与える影響を分析します。さらに、各劣化要因と文字起こし精度の関係をAIに学習させることで、オンライン会議音声の品質を客観的に評価する指標を作成できないか、その可能性を探ります。

問題提起

たとえばパケットロスによる音声途切れ

通信パケットロス40%による音声劣化の例
通信パケットロス40%
通信パケットロスなしの音声例
通信パケットロスなし

聞き間違いの傾向は人間とAIで異なるのか?

研究手法

研究手法の全体像
機械学習

シミュレーションによって意図的に劣化させた音声を生成し、AI にそのパターンを学習させます。このAIを使って実際の会議音声の音声劣化の原因と程度を分析し、改善点を提案します。

主観評価実験

本研究プロジェクトでは、「AI が正しく聞き取れる音声は、人間にとっても聞き取りやすい音声である」という仮定に基づき、劣化音声を対象とした機械学習に取り組んでいます。しかし、この過程が妥当であるか、またAIと人間のあいだでどのような聞き取りの差異が生じるのかについては、継続的な検証が必要です。そこで、これらを検証するための主観評価実験を設計しました。

音声品質に影響を与える要因のうち、まずは IP 通信で発生するパケット損失に着目し、パケット損失をシミュレートした日本語音声データを用いて書き起こし実験を実施しました。参加者の書き起こし内容や過程を分析することで、パケット損失が人間の知覚(明瞭さ・理解度)や行動(聞き直し回数・書き起こし所要時間など)に与える影響を明らかにします。

さらに、人間の書き起こし結果と自動音声認識(ASR)システムの認識結果を比較し、音声的・言語的要因に基づく誤り傾向の違いを検討しています。これにより、人間と AI の「聞き取り」の特性を定量的に把握し、将来的な自動品質評価手法の高度化や、人間の知覚に基づいた使いやすいインターフェース設計への応用を目指します。

学会・論文情報

学会 / Conference

6th Joint Meeting Acoustical Society of America and Acoustical Society of Japan

ホノルル, ハワイ, アメリカ合衆国, 2025年12月1-5日

発表タイトル: Evaluating speech quality for automatic transcription in videoconferencing

(プレスリリース) Acoustics Lay Language Papers (Acoustical Society of America)

記事タイトル: How Online Meetings Change Your Voice—and How We Measure It

記事URL: https://acoustics.org/how-online-meetings-change-your-voice-and-how-we-measure-it/

日本音響学会 第155回(2026年春季)研究発表会

東京, 日本, 2026年3月17-19日

ポスター発表

発表タイトル: IP通信におけるパケット損失が日本語音声の聞き取り精度に及ぼす影響の検討

(ポスター発表1日目:3/17)

ポスターPDFはこちら

日本音響学会 第156回(2026年秋季)研究発表会

石川県 金沢市, 日本, 2026年9月08-10日

ポスター発表

発表タイトル: パケット損失率の違いに伴う人間の認識結果および聴取努力の変化とASR認識結果との対応関係

(ポスター発表2日目:9/9)

発表タイトル: Automatic Speech Recognition–Based Speech Quality Assessment

(ポスター発表3日目:9/10)